笑う犬 ビションフリーゼ

ビションフリーゼの男の子 ゆき との生活をつづった日記です。

無麻酔歯石除去の重大な落とし穴。

前々回の記事の続きです。

「全身麻酔下で歯石取りをしたよシリーズ」の
最終回になります。

今日の記事を読んで不快に感じられる方が
沢山いるかもしれないと思いますが...。

歯周病は心臓、肝臓、腎臓の疾患だけでなく
関節、肺、脳などの疾患や腫瘍などを含めた
全身疾患との関連性が
人間だけでなく獣医療でもわかってきました。

今日のトピックを書いてよいものかずっと考えてきましたが
たった1頭のワンちゃんでもいいから
将来、手遅れになる前に
歯周病の治療を受けるきっかけになればいいなと思い
今日の記事を書くことにしました。

次の写真は
アメリカ獣医歯科学会(American Veterinary Dental College) の
ホームページで見つけた写真です。

ゆきの掛かりつけの病院のフェイスブックでも紹介されていました。



#1.Sept. 15, 2016

一見すると真っ白な歯のようですが
プローブ(歯周ポケットの深さを測定する道具)が
歯肉を貫通しているように見えます。

歯肉に穴が開いているのではなく
歯周病で歯肉が後退していまい
歯の根(プローブを通しちゃっている部分)が露出してしまった
重度の歯周病を患っている犬の歯です。

実は、こちらの犬は
数年間、無麻酔歯石除去を受け続けた結果
重度の歯周病に罹ってしまったそうです。

(今日の記事で言う「無麻酔歯石除去」は
 動物病院やサロンでの麻酔無しの歯石除去だけでなく
 個人が自分の犬にスケーラーで行う歯石除去も含まれます。
 スケーラーを使わないという点で異なりますが
 同様に歯肉縁下の清浄を行えないという理由で
 私の記事では
 それ用の歯磨き剤やジェルといったものも含まれます。)

アメリカの獣医師や動物病院のホームページで
よく紹介されているのが
長年、無麻酔歯石除去を受け続けた結果
重度の歯周病に罹った犬の症例です。

無麻酔で歯石を取ることが直接
歯周病を悪化させるということではありません。

(スケーラーで歯肉や歯を傷つけて
 そこから細菌が入り、歯周病の原因になることも
 あるそうですが。)

先週の記事でも
歯(歯周)の本当の状態は
レントゲン撮影をするまで
どうであるかわからないと書きましたが

カリフォルニア大学デイビス校によると
歯科検診を受ける犬のうちの28%は
レントゲン撮影をするまで
歯周病を発見できないものがあるとのこと。

(猫の場合は更に酷く
 40%以上だそうです。)

日本の無麻酔歯石除去をするサロンの中には
「歯周病を防止する」とかいったことには一切触れずに
はっきりと、美容目的のための「美容無麻酔歯石除去」と言ってくれている
正直なサロンもあります。

しかし、無麻酔歯石除去をする多くのサロン・トリミングサロンは
無麻酔歯石除去(つまり、見える部分のみの歯石除去)が
まるで、歯周病予防になるかのように
宣伝しています。

(見える部分の歯石を取っても
 歯周病予防とは、ほぼ関係がありません。)

「歯周病予防」を謳っているサロンの中には
「重度の歯周病に罹っているワンちゃんはお断りしています」と言いつつも
ホームページに紹介されている施術後の犬の歯を見ると

真っ赤に腫れて、後退した歯肉をしていて
一刻も早く、獣医師による治療が必要なぐらいの犬もいれば
(この記事の最初の写真のように歯の根元が見えちゃっている子とか)

乳歯残存(乳歯が抜けないでいると、ほぼ確実に歯周病になると言われています)の犬の
施術後の写真を平気で載せていたり。

犬の歯に関係することで
よその人からお金をもらって生計を立てている人が
ド素人の私でも簡単にわかるような重大な症状を
飼い主さんに指摘してあげていない(あるいは、見逃している)のが
不思議でなりません。

さらに、重度の歯周病に罹っている犬の施術後のコメントとして
「○○○ちゃんはじっとしていてくれるから、全身麻酔の歯石取りは必要ないですね」といった
とてもいい加減なコメントを載せているのを見ると
あきれずにはいられません。

「麻酔は危険」と言って
必要以上に飼い主さんの恐怖心をあおり
まるで「無麻酔歯石除去で歯周病を予防」できるかのように
誇大広告(...というか、虚偽広告)をしたら

御自分の犬をとても大切にしている飼い主さんたちが
無麻酔歯石除去を選ぶのも
無理はないと思います。

ちょっと本題からずれてしまいました。

残りの写真は全部
アメリカの歯科専門獣医師のホームページから勝手に拝借しました。

これらの写真の犬は
数年間、1ケ月おきに
無麻酔歯石除去をしてきたそうです。

この犬はある日、歯を折ってしまい
歯科専門医に初めて連れてこられたそうですが
ぱっと見とは裏腹に重度の歯周病になっていたそうです。



#2.Sept. 15, 2016

プローブが歯周ポケットに深く入ります。



#3.Sept. 15, 2016

こちらも深い歯周ポケット。



#4.Sept. 15, 2016

こちらも深い歯周ポケット。



#6.Sept. 15, 2016

そしてこちらも。

抜歯された実際の本数は書いてありませんでしたが
この犬はこの日、沢山の歯を失ったようです。

日本の獣医師のブログのいくつかでも
無麻酔歯石除去を続け、本当に必要な歯科処置を受けなかった結果
重度の歯周病にかかり
沢山の抜歯を余儀なくされたケースを見ました。

ある獣医師のブログで紹介されていた小型犬の場合
定期的に無麻酔歯石除去を受けているため
病院に連れてこられた時は
見た目には、お口全体の歯が真っ白で
ぐらついた歯が一本あるだけだったそうですが

プローブで調べていくと
歯根がダメになっているのが次々に見つかり
結局、その日だけで25本の歯が抜歯されてしまいました。

また、別の日本の獣医師のブログでは
無麻酔歯石除去を定期的に受けていた犬が
酷い歯周病になっていて
一度に24本の歯を抜歯されたケースが紹介されていました。

歯石除去で一番大切なことは
歯肉縁下の歯石(&歯垢)を
除去・清浄すること(全身麻酔でのみ可能)とされてますが

アメリカの歯科専門獣医によると
表面の部分の歯石(&歯垢)を全て除去できたとしても

それは、除去すべき歯石(&歯垢)全体のうちの
たった40%でしかないそうです。

だから、無麻酔で表面の歯石を取って歯が真っ白になっても
残り60%の歯石・歯垢(歯肉縁下の部分)は
何も処置されないままです。

つまり、この記事のタイトルもあるように
「無麻酔歯石除去の重大な落とし穴」は

見た目の歯の綺麗さに気を取られて(安心して)しまい

歯周病の予防・進行を遅らせる処置
(全身麻酔のみ可能な歯肉縁下の処置)を先送りし続けている間に

アメリカでは「Silent Killer」とも呼ばれている歯周病が
飼い主さんが気付かないうちに
どんどん進行し続けていく

ということなのだそうです。

歯周病予防・治療にはならないけど
美観目的が達成されればよいと割り切っている飼い主さんならば
それはそれでよいのですが

多くの無麻酔歯石除去の施術者が言うように
表面の歯石を取れば
歯周病が予防できると
思われている方がいらっしゃるとしたら

こういった症例が沢山あるということを
知っていただきたいと思い
沢山の方が不快と思われるかもしれない記事を
敢えて書くことにしました。

また、御自分の犬が「シニアだから麻酔は無理」だと
決めてしまっている飼い主さんがいらしたら
本当のところはどうなのか
歯科専門医に相談されてみてはどうなのかなと
思います。

ワンちゃんが、生涯
飼い主さんが気付かないところで
お口の中の痛みで苦しんでいる可能性も
十分にありますので。

ちなみにこちらは日本小動物歯科研究会の記事へのリンクです。
日本の多くの獣医師さんがこちらの記事にリンクを貼っています。
(PDF)無麻酔で歯石をとる?!‐日本小動物歯科研究会


「全身麻酔下で歯石を取ったよシリーズ」は
これでおしまいです。

ゆきを迎える前から、すでに
ゆきの歯のお手入れのことをしょっちゅう考えていた私のことなので
これからも、歯に関する記事を、たまに
書くかもしれないです。


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